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メーデーの都心(東京都千代田区)
新緑や列の赤旗汚れなし
学生時代にしか参加したことのないメーデー。近頃のメーデーはどんな景色なのだろうか?
安保闘争の最中、どろどろになって、じぐざくした、あの汗くさいメーデーは無かった。むしろ爽やかな5月の風を
楽しむ、愉快な集団があった。警官は対立する物ではなく、洗い立ての赤い旗の集団を自動車から守る人間であり、
先導の人と変わった。
警視庁は高層ホテルのごとくそびえ立ち、街路樹のマロニエ並木の中に外務省は多くの人を飲み込んでいた。
向かい側の法務省は時代を超越して赤煉瓦の心休まる空間を示現していた。裁判員制度のこともあるのか、法務資料
展示室には、敬礼を持って内部に入れてくれた。和綴じの司法省日記など、ゆっくり見たいものが展示されていた。
新緑の桜田門には日比谷公園から、時折風に乗ってメーデーの拡声器の声が聞こえた。それはすでに緊迫したものではなく
ベンチに休む人々への子守歌のようだ。
しかし、現実に戻れば、未曾有の大不況は未だ明るさも見えず、若者の派遣労働等の雇用問題。我々年金生活者の
将来不安。
とにもかくにも、五月晴れの1日を楽しく吟行させて頂いた。
マロニエの挙り咲く道外務省
官庁の屋根に尾を垂る鯉幟
警視庁の衛視の礼や楠若葉
警視庁前小うるさき熊ん蜂
司法省の煉瓦の窓へ新樹光
墨痕の明治の調書夏隣
捲れ癖残る和綴じや昭和の日
旗持たぬ笑顔の親子労働祭
桜田門の厚き鉄扉や花は葉に
呆け蒲公英シュプレヒコール遠のけり
メーデーや道化の服を着たる人
はとバスや茅花吹かるる二重橋